木村政雄のコラ!!ム

月のコラ!!ム

2019.4.1

4月のコラ!!ム

大阪に住んでいた頃によく通っていた、スペイン料理店のシェフから「トマトソースをつくる時、100点満点の味付にしないようにして、70点か80点の味にしている」と聞いたことがあります。訳を尋ねると、人の欲望は際限なく膨らむので、100点の味に慣れてしまうと、客は次に来た時110点の味を期待してしまうからだというのです。また常に100点だと、最初は感激しても次第にインパクトが薄れます。そこで、客の期待値を上げるため、わざと70点か80点に抑えているのだというのです。「もっと期待をさせる余白を残す」、それが客に何度も足を運ばせる秘訣なのだそうです。この言葉を聞いて、「人生にも同じことが言えるな」と思い、私もひたすら「100点を目指さない人生」を歩んできたつもりですが、もしかしたら、シェフがわざと抑えていた70点や80点にも届いていなかったのかもしれませんね。

月のコラ!!ム

2019.3.1

3月のコラ!!ム

ニュースで「好天」だと聞いて出かけたら、大荒れの天気の「荒天」だったというように日本語には、有料と優良、新婦と神父、四球と子宮、お食事券と汚職事件など多くの同音異議語があります。その中の一つに「ヨタカ」というのがあって、一つは準絶滅危惧種の渡り鳥の「ヨタカ」、容姿に自信がないのか控えめで、昼間は草むらに隠れ、体の色が地面と同じ色で外敵に狙われにくく、夜になるといそいそと、虫を求めて飛び立つと言われます。もう一つは時代劇にも出てくる「夜鷹」、こちらは、寄る年波もあって客がつかなくなり、置屋から出されて、橋のたもとや、木の陰に潜んで客を待つ女のことです。まあ、どちらも夜行性であるということは共通していますが、その控えめな生き方に、どこか愛おしさを感じてしまうのは、やはり歳のせいなのでしょうかね。

月のコラ!!ム

2019.2.1

2月のコラ!!ム

「SMAP」に続いて、来年には「嵐」までが活動を停止すると大騒ぎをしています。特にフジテレビなどは、連日時間を割いてこの話題を取り上げていますが、果たして、そんなに大ごとなのでしょうか?10代から数えて20年、アラフォー近くになった彼らが、アイドルを演じていることに疑問を感じ、それぞれの方向性を考えることの方が、寧ろ当然なように思うのです。アイドルという言葉の語源は、ギリシャ語の「エイドーロン」だと言われますが、この言葉の意味は、「鏡の中の像」「実体のない形」だそうです。そろそろ、彼らも「実体のある存在」になりたかったのではないかと思いますけれどね。

月のコラ!!ム

2018.12.31

1月のコラ!!ム

「スネークイン」という言葉があります。小さな音量からゆっくりと上げていくことを言うのですが、今年はこれでいってみようかと思います。落語で言えば、5代目古今亭志ん生さんのように、ことさらに小声で噺をはじめ、客が聴き取れないので真剣に耳を傾け始めかけたころに徐々に声を上げ、自分のペースに引き込んでいくという手法です。どちらを見ても、声高で大声の時代だからこそ有効な手法だと思うのですが、志ん生さんのような技量がないと、周囲からシカトされるリスクはありますけれどね。